ROIとは投下資本利益率のこと。(投資利益率とも言う)
「ROI=利益/投下資本」で求められる。とてもシンプル。
しかし...
「今月のROIは30%でした」
これが何を意味しているのかは、人によって全然違ったりする。
そもそも投下資本というものは、使う人や場面によって意味が変わってくるザックリした言葉だからだ。
というわけでいくつかのパターンを紹介する。
①売上原価を持ってくるパターン
ROI=利益/売上原価
投下資本とは原価のことだ。という考え方。
その月に原価200万円分の在庫が売れて、利益が60万円出たなら、ROIは30%になる。
ただ注意しておきたいのは、ROI30%と言われても、それが良い数字なのかどうか分からないということ。
仕入れてから売るまでの期間が、まるっきり無視されているからだ。
1万円で仕入れた商品が今月売れて、3000円利益が出た。ROIは30%だ。
しかし、1年かけて売れたなら年利30%。
1カ月で売れたなら月利30%。
意味が全然違ってくる。
つまりこの方法で計算する場合、不良在庫をたんまり抱えて非効率な運用をしていたとしても、数値には一切影響しないのだ。
なので必ず回転率をセットで把握しておかなければならない。
②平均棚卸高を持ってくるパターン
ROI=利益/平均棚卸高
投下資本とは在庫のことだ。という考え方。
物販は、キャッシュを在庫に投下して増やすビジネスなので、ある意味正しい考え方かもしれない。
月間ROIを求めるなら月間平均棚卸高を投下資本とする。
ただ、平均棚卸高を正確に求めるのは困難なので、月初と月末の棚卸高を足して2で割って、簡易的に算出するのが一般的。
月の平均在庫高が600万円、利益60万円だとすると、ROIは10%になる。
「今月は(平均)600万円分の在庫を抱えていて、そこから10%のリターンを得た」ということになる。
ちなみに①で紹介したROIに回転率を掛けたものが、この②のROIになる。
①のROI × 回転率 = ②のROI
(利益/原価)×(原価/平均棚卸高)=利益/平均棚卸高
ちなみに回転率には、分子に売上を持ってくる計算方法もあるので、その場合はROS(売上高利益率)と掛けると、この②のROIを求めることができる。
③自己資本+有利子負債を持ってくるパターン
ROI=利益/(自己資本+有利子負債)
これはROICとも言われる指標。
ROA(利益/総資産)と何が違うかというと、分母の総資産から無利子負債を引いている。
ではこの場合の投下資本とは具体的に何なのか?
僕みたいな単純なネット物販の場合、主に「在庫 + キャッシュ – クレカの未払い金」のことだと思っておけばいいと思う。(厳密には設備投資も含まれるけど、そんなに大きな額でもないと思うので、ここでは無視しておく)
600万円在庫があって、キャッシュが500万円あって、クレカの未払い金が100万円。
この場合の投下資本は1000万円。
利益が60万円出たなら、ROIは6%になる。
在庫だけでなく、持ってるキャッシュをどれだけ有効活用できているか?も反映されているというわけ。
現金をタプンタプンに余らせてたら数値は低くなる。
まとめ
ROIは明確に定義された言葉ではなく、使う人や場面によって意味が変わってくる。
「ROIは個別の投資案件に当てはめる指標だ」と解説されることもあるけど、この辺も曖昧。
あんまり追いすぎると哲学の話になってしまいそうなので、この辺で終わっておく。
じゃあ結局ROIを高めるにはどうすればいいのか。
3番目のやつが一番包括的なので、それで考えると、
・キャッシュを可能な限り投資に回すこと。
・利益率と売れ行きの良い商品に投資すること。
・在庫量を適切に保つこと。
というありきたりな結論になってしまう。
言われなくても誰だってそれ目指すっていう。
・がんばるしかないということ。