欧米輸入で見逃しがちなアンダーバリュー(脱税)

輸入やってて困るのが、意図しないアンダーバリュー。

アンダーバリューとは、税関での申告価格を低く抑えて、本来支払うべき関税や輸入消費税を払わない脱税行為のことである。

アンダーバリューの原因

中国輸入だと「仕入先が勝手に低い価格のインボイスを添付してきた」というのが多いらしいけど、これは欧米輸入だとそんなに起きない。

欧米輸入のアンダーバリューの原因としてよくあるのが、「個人使用扱いで申告される」というパターン。

同じ商品を仕入れても、商用個人使用目的かで支払う税額が変わってくる。

販売する商品が個人使用として通関されると、申告価格が6掛けになるので、その分支払う税金も安くなってしまう。

勝手に個人使用扱いにしたのはクーリエの通関士なので輸入者に非はないと思いたくなるが、残念ながら放置するのは立派な脱税行為だ。

「知らなかった」じゃ済まされない。

個人で小規模に欧米輸入ビジネスをやってる人が一番引っ掛かりやすい罠である。

特に転送業者を使わずに海外ショップから直送するとよく起きるので、気を付けなければならない。

アンダーバリューの見分け方

個人使用で申告された場合、インボイスを見るだけではアンダーバリューかどうか見分けることはできない。(インボイス自体が間違っているわけではないので)

税額に違和感があってもなくても、必ず輸入許可通知書をチェックするクセをつけておこう。

ちゃんと商用として申告されたかどうかは、輸入許可通知書の「仕入書価格」という欄を見れば一目で分かる。

商用で申告されていれば、基本的にはここのアルファベットはAになっている。

しかし個人使用の場合は、ここがDになっていることが多い。
imm

なのでDの文字を発見したら、必ずインボイスと通知書の価格を見比べよう。

通知書の仕入書価格が、本来の仕入れ価格よりも明らかに低ければアンダーバリューになっている。

上の画像の場合は、本来7000ドルほど仕入れたのに、通知書の価格は6掛けの4337.22ドルになっていた。

明らかにアンダーバリューで、支払う税金も少なくなっていたため修正申告を行った。

もし輸入許可通知書をなくしてしまった場合は、通関手続きを行った運送業者に追跡番号を伝えれば取り寄せることができる。(DHLの場合は最初から荷物に付いてないので自分で取り寄せる必要がある。EMSの場合は多分輸入許可書はないと思う。代わりに課税通知書とかいうのがあるので保管しておこう)

ただ通関業者の保管義務は過去3年分までなので、それ以前のものは取り寄せられないこともあるかも。

輸入事後調査では基本的に5年分を調査されるらしいので、調査が入ったときに焦って5年前の書類を取り寄せようとしても、対応してもらえない場合があるので小まめに取り寄せるようにしておこう。

ちなみに追跡番号が分からない場合は取り寄せられない。

仕入先のショップによっては過去の注文の追跡番号が閲覧できないこともあるので、受取時の伝票とかを保管してないと詰む。

まあこういう書類の管理って本当に煩わしい。

僕もこれが嫌で輸入物販やめたくなることがよくある。YouTubeとかで稼ぎたいなあ~。

修正申告をしよう

個人使用扱いになっていることに気づいたら、修正申告をする必要がある。

黙ってたらバレないというのは甘い。国家権力を舐めてはいけない。

通関データは全て税関に保存されてるわけで、輸入を続けてたら何かのきっかけでバレると思うよ。

「こいつ輸入販売やってるみたいだけど、過去のデータ見るとやたら個人使用で通関してるぞ…!怪しいぞ!」って。

意図的な虚偽申告よりも、よっぽどバレやすいと思う。

というかすでにバレてるんじゃないかな?

ググったら個人使用扱いのアンダーバリューで事後調査になったという記事も出てきた。

輸入事後調査を受けました。その1

この記事の森さんは利益100万ぐらいのときに事後調査を受けたっぽい。

つまり個人レベルでも事後調査は来るし、僕らにも無関係じゃないってこと。

誰だって事後調査に入られるのは嫌だし、追徴課税も取られたくないよね。

というか税金を払うことよりも、調査のために5年分の資料を整理することのほうが大変。

5年分のMyUSの荷物を仕入と紐付けるなんて、気が狂うほど大変だし絶対にやりたくない。

なのでしっかり修正して、事後調査のターゲットになりにくいようにしておこう。

修正申告については、EMSで輸入した場合は課税通知書に記載されてる税関に問い合わせたら無料で対応してもらえる。

関連記事:EMSで輸入した商品の関税額が間違ってた! 修正申告の仕方を解説

DHL、FedEx、UPSの場合、基本的には運送会社に連絡して修正申告してもらうことになる。

ちなみに運送会社ごとの修正手数料は下記の通り。

■荷物1件あたり
UPS:6500円
FedEx:9000円
DHL:9500円

た、高い…

ただ「個人使用→商用」の修正の場合、クーリエ側の判断ミスということもあるためか、以前DHLに依頼した時は無料でやってくれた。(最初は手数料掛かると言われたけど、結局請求はなかった)

連絡したら色々指示があって2週間ほどでスムーズに終わった。

UPSについては、5件ぐらいまとめて修正依頼したことあったけど1件ずつバッチリ料金徴収された…

まあこの辺の判断は担当者にもよるのかもしれない。

また、UPSでは修正が2週間で終わるときもあれば、4か月ぐらいかかることもあったりまちまちだった。

なので期末付近で修正依頼すると、決算を跨いでしまう場合もあるのでその辺も考えて依頼するようにしよう。

元払いパターンも修正必須

海外Amazonなどの輸入税元払いのショップから仕入れた場合、自分で納税をしないのでアンダーバリューに気づきにくい。

納税しているのはショップ側なので輸入者が対応しなくてもいいのでは?と思いたくなるが、税関に問い合わせたところ、これも輸入者が修正申告して不足分を納税する義務があるそうだ。

なので輸入するたびに輸入許可通知書を取り寄せて、アンダーバリューになってないか確認する必要がある。

米AmazonからBlu-rayなどを直送でチマチマ仕入れてる方。

普通にアンダーバリューしてると思うので要確認。

面倒だけど、事後調査に入られないように自己防衛しましょう。

個人使用で通関されないようにするには?

修正申告は手間だけでなくコストも大変かさんでしまう。

少額の輸入を何度も繰り返していた場合、修正手数料だけでとてつもない損害を受けることもあるだろう。

そのためできる限り、個人使用として申告されるのを防ぐ必要がある

そこで有効なのが、仕入れる時に送付先情報に屋号を記載するという方法だ。

これで通関士に、商用だと認識してもらいやすくなる。

しかし確実に有効というわけでもなく、これでもたまに個人使用として通関されることがある…困ったもんだ…

しかし何もやらないよりはだいぶ改善されるので、やっておいた方が良い。

あとは面倒な方法だけど、通関前に運送業者に商用だと連絡しておくと確実。

というか個人使用と商用で税額が変わるシステム自体が邪魔なんだよなあ…

頼んでもないのに勝手に税額下げられて、修正手数料はこっちが負担させられるんだから辛い。

とグチをいっても仕方ないので、しっかり対策していきましょう。

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